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国内メーカーが開発を進める水素エンジンとは

エンジン

水素エンジンとは

カーボンニュートラルに向けて注目される技術はEVだけではありません。
現在、国内メーカーが開発を進めている技術の一つが水素燃料です。
従来のエンジンが転用可能で、燃焼しても水を排出するだけなので、クリーンなエネルギーとして研究されています。
自動車だとトヨタが実証実験を行っていますが、バイクではカワサキやヤマハが開発しています。

カワサキの水素エンジン

カワサキの水素エンジンはスーパーチャージャー+直噴エンジンを実験機としています。
筒内直接噴射の理由は、水素は燃えやすいため。従来のポート噴射だと吸気バルブがシリンダーに吸い込まれる前に燃焼してしまい、熱エネルギーが無駄になってしまうためです。
また、水素だけだとガソリンに対して取り出せるエネルギーが少ないので、スーパーチャージャーと組み合わせて、ガソリンと同様のパワーを得るようになっています。

ヤマハの水素エンジン

ヤマハも2021年11月13日にミッドシップを搭載したV型8気筒水素エンジンを公開しました。
このエンジンはトヨタから委託され製作されたもので、バイク用ではありません。

水素エンジンの問題点

燃焼しても水しか出さないクリーンなエネルギーである水素ですが、
・燃料速度がガソリンに比べて約7.6倍速く、異常燃焼の発生リスクが高い
・容積当たりの発熱量がガソリンに比べ1/3.7なので、航続距離が短い
・インフラの整備が必要
というように実用化には3つの壁が存在します。
スーパー耐久レースに参戦したトヨタの水素エンジンを搭載したカローラスポーツは、頻繁に水素の補充を繰り返したことから、優勝車の約半分の距離しか走行できていません。
水素エンジンの実用化にはまだまだ時間がかかりそうです。

カワサキとヤマハが共同研究しホンダとスズキも参加

ヤマハが水素エンジンを公開した会見では、国内バイクメーカー4社(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)が共同開発を検討を開始すると発表します。
ヤマハは上記にもあるように自動車向け水素エンジンを開発していましたが、スーパー耐久レースにも参加するほどのレベルになったことからバイク用もやってみたいと考えていました。
その矢先、カワサキとトヨタが連携し、バイク用水素エンジンの開発をスタート。
トヨタが仲介役となってヤマハとカワサキがバイク用水素エンジンの共同研究について検討をはじめ、ホンダとスズキにも声をかけて4社協業が検討されるに至ったのです。
検討に入った段階なので、具体的なことは決まっていませんが今後に注目です。