A.L.I. Technologiesの破産が決定
バイクはさまざまな面での新しい技術とアイディアの開発が進んでいて、今までの常識を打ち破るようなコンセプトが次々と発表されています。
その中でも、空飛ぶバイクとして世界的な注目を集めたのが「A.L.I. Technologies」のバイクです。
見た目上は大きなスポーツバイクという感じなのですが、最新のドローン技術を用いて上空を飛べるようになっています。
すでにある程度システムができていて、実験機が公開されてもいました。
しかし、2023年にこの開発会社であるA.L.I. Technologiesが破産してしまい、その計画は頓挫します。
1月10日に破産手続きを始めたことが明らかになり、企業自体が倒産することになりました。
その時点で示された負債は、総額で11億6,750万円となっています。
新しい技術という面では非常に注目度が高く、実際に開発も進んでいたのですが、資金面でのハードルが高く資金調達ができなくて破産に至ってしまったのです。
A.L.I. Technologiesが破産した原因とは?
A.L.I. Technologiesでは、空飛ぶバイクをかなりハイグレードな仕様にしたいと考えていたところがあります。
見た目も高級なスポーツタイプとし、価格も発売時には770万円という高値を設定していました。
初期モデルを販売するのは200台限定としていて、すべて予約での購入のみとなっていました。
デザイン重視の部分もあり、どうしても設計コストと製造コストがかさんでしまう作りです。
そのため、空飛ぶバイクを実現するための開発は順調に進んでいたものの、機体のデザインなどによってコストがかさんでしまった感があります。
資金難が見られたため、SPACという形で会社を上場させ資金調達をしようと考えていました。
これはベンチャー企業で見られる手法なのですが、特に実態のないペーパーカンパニーだけを上場させて、その後上場した会社を買収することで事実上の上場会社を作り上げるというものです。
アメリカでは資金繰りをスムーズにするためのやり方として受け入れられていますが、まだ日本ではそうした手法が一般的ではないため、投資家からは危険視されてしまいます。
そのため、リスクがあるということで出資者はすでに投資していた資金を引き揚げたのです。
これによって企業としての資金計画が厳しくなり、従業員への賃金未払いなどが発生するようになります。
こうして、開発を続けること、製造ラインに乗せることが不可能となり、ついに倒産という道に至ってしまったのです。
エア・モビリティの分野ではベンチャー企業が率先して開発を進めているのが現状で、どうしてもこうした事態が出てしまうのは避けられないことですが、業界の中では大きな注目を集めるニュースとなりました。