自動的にバランスをとる
ホンダが2017年に公開した技術「Honda Riding Assist(ホンダ・ライディング・アシスト)」。
これは、ホンダの二足歩行ロボット「ASIMO」などの研究で培ってきたバランス制御技術をバイクに応用したものです。
ライダーがバランスを崩しても、バイク自体がバランスを保ち、低速走行時や停止時のふらつき、取り回しの際の転倒を防ぎます。
そして、2021年11月下旬、報道陣向けに最新バージョンが公開されました。
今回披露された実験者「ESV(Experimental Safety Vehicleの略)」は2017年公開時より改良が進められたものです。
このESVは、フロント周りにあった制御系をリア周りに移し、車体と後輪を左右に振動させることで自立バランスを確立します。
これは、車体が倒れようとすると方向と反対のロール方向へリアタイヤを揺動させることで、復元力を発生させる仕組みです。
静止状態では小さな作動音が聞こえるだけで、車体は動いていないように見えますが、よく見ると微妙に車体と後輪を揺れ動かしながらバランスをとっています。
この状態で車体を手で押してみると、後輪が車体の動きに応じて反対側に揺れてバランスを確保。徐々に動きが収束して静止状態に戻ります。
自然な乗り味を実現
介入の度合いが高いとバイクを操る楽しさが失われるとホンダは考えているため、ESVでは違和感を与えないように開発しました。
ライダーの起こしたい、バンクしたいという意図にも応えるため、自然な動きを実現しています。
実用化はまだまだ先ということですが、ホンダ・ライディング・アシストがあれば立ちごけやUターンでの極低速の旋回でも安心です。
ホンダは2021年11月25日の記者会見で2050年までに事故死者ゼロを目指すと宣言しています。
ホンダ・ライディング・アシストは誰もが安全にバイクで走るために重要な安全技術です。ぜひ実現してほしいですね。