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第一次大戦で3万台が投入されトライアンフ・モデルH

トライアンフ・モデルHの概要と特徴

トライアンフは、イギリスに本拠を置くバイクメーカーです。
その始まりは、1885年に設立された輸入貿易会社がベースとなっています。
製造面では当初自転車の開発と販売をしていましたが、19世紀になるとオートバイが登場すると、1902年には初のバイクをトライアンフブランドとして販売します。
フレームもエンジンも自社製で、当初から高い技術を持っていたことが分かります。
さらに1905年には、ほとんどのパーツを自社製のバイクを製造、販売するようになります。

こうしてバイクの黎明期から培ってきた開発製造技術を生かして、トライアンフ・モデルHが製造されます。
おりしも1914年から第一次世界大戦が始まり、戦場では機動性の高い移動手段であるオートバイが重宝されました。
トライアンフは戦前からマン島TTレースなどで高い完走率を記録しており、耐久性の点で高い信頼を受けていました。
そのためイギリスと連合軍はこのトライアンフ・モデルHを積極的に採用し、実に3万台以上ものバイクが戦場に投入されることになります。

軍用車として、無駄を省いたデザインとパーツ構成が特徴となっています。
耐久性を維持するために重厚なパーツを用い、過酷な状況でも使用できる設計をしています。
それでもコスト面での配慮を徹底し、安価に大量の車体を送り込めるようにしています。

トライアンフ・モデルHの仕様について

トライアンフ・モデルHは、標準仕様としては499ccの排気量を持つエンジンを搭載しています。
空冷式の4ストローク単気筒エンジンとなっていて、パワフルな走行性能が特徴です。
軍用車としてさまざまなカスタムができるように、柔軟な設計が採られています。
架台を取り付けたり、逆にパーツを取り外したりできるようパーツ構成が工夫されているのです。

また、搬送やメンテナンスなどを簡単に行えるよう、パーツの分解がしやすいというのもポイントです。
コンパクトでスリムなフォルムが採られているため、搬送が楽なだけでなく、敵からの発見を遅らせるという面でもメリットを生んでいます。

トライアンフ・モデルHの見た目は、現在の自転車くらいのシンプルさが特徴となっています。
細身のボディーの中心部に、エンジンなどの主要パーツがまとめられています。
ホイールとタイヤは細身ですが、悪路でも走破できるタフさを維持できるよう頑丈な造りとなっています。

トライアンフ・モデルHが第一次世界大戦で重宝された理由の一つは、その高い走破性が挙げられますが、その秘訣が足回りにあります。
ホイールとタイヤはシンプルな構造で脱着がしやすいため、パンクや損傷などの事態になってもすぐに直せます。