ベスパの特徴とは?
現代人の感覚で見たペスパの特徴は、「かわいい」でしょう。
コンパクトで丸っこいデザインは、非常にポップな印象をウケます。
しかしその一方で、その歴史を見るとなかなかに硬派な一面も持ち合わせています。
この二輪車が広く知られるようになったのは、映画「ローマの休日」において登場したのがきっかけとも言われています。
イタリアのバイクメーカー、ピアッジオが製造・販売しています。
ベスパはメーカー名だと思っている人もいるようですが、あくまでバイクの名前です。
登場したのは第二次世界大戦が集結して間もない1946年、イタリアと言えば日本・ドイツとともに敗戦国、厳しい状況のなかで復興を目指しているなか、この小型スクーターが登場しました。
イタリアと言えば非常にユニークなバイクを世に送り出すことでも有名ですが、このベスパはまさに従来のバイク・スクーターのイメージを根本から変えるような斬新なデザインとなっていました。
第二次世界大戦は世界のさまざまな価値観を大きく変化させましたが、ベスパの斬新な内容はそんな世界の風潮を象徴するものだったのかもしれません。
なお、かわいいデザインですが、じつは対戦車用兵器として採用した国がありました。
イタリアのお隣、フランスです。
このベスパを改造したうえでアメリカ製の砲身を搭載したもので、かわいいベスパのデザインに砲身を積んでいる姿はかなり異様な雰囲気となっていました。
ベスパの仕様について
すでに70年以上の歴史を持っているペスパですが、現在でも多くの愛好家がいる理由にはそのデザイン面の魅力だけでなく仕様・機能面も魅力が挙げられます。
登場した当初は、駆動部まで一体化されたそのスイングユニットのエンジン仕様が世界中に大きな衝撃をもたらしました。
もともと開発元のピアッジョは航空機メーカーということもあり、航空機の製造で培ってきた技術やノウハウを大胆に導入されており、ほかにもタイヤ交換をスムーズに行うために前輪を片持サスペンションにするなどユニークなこだわりがあちこちに見られます。
こうした斬新な仕様・技術を採用しながらも低価格で購入できる大衆車として売り出すことを前提としており、一般の人たちにも手を出しやすかったのも高い評価を受けた理由です。
この点にも、戦後の復興期ならではの事情が窺えます。
その後、時代の流れに合わせてマイナーチェンジが繰り返されており、現在では世界中で進んでいる排ガス規制にも配慮しつつさまざまな技術が導入されています。
とくに2000年代以降は、従来の2ストロークエンジンとマニュアルの組み合わせに代えて4ストロークエンジンとオートマを組み合わせたエンジンが採用されるようになっており、大きな変化となりました。
とはいえ、デザインを含めた従来のペスパの魅力は現在でも受け継がれています。